Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
裏門も、別建ての離れ座敷も、火に包まれて燃え上がっている。
「危険でござるぞ! 後へ後へ! ……表より外へ! 表より外へ!」
が、振り返って眺むれば、表も火焔に包まれているのか、大屋根を越して火の束が、黒煙りと共に立ちのぼっている。
「行けない行けない、表へも行けない!」
「塀を乗りこせ! 側面の塀を!」
裏庭を囲繞した土塀の一方、南に向いたそこだけは、まだ火に襲われてはいなかった。
警護の武士たちは右内を引き上げ、一斉に外へ飛び下りた。
とたんに、
「ワッ」
と一人の武士が、もんどり打って地に仆れた。
「どうした!」
と一同寄ろうとした時、
「ワッ」
またも一人が仆れた。
瞬間地上に腹這って、石かのように見せていた、黒装束に黒覆面の、五人の武士が立ち上がった。
「曲者!」
「素破こそ!」
「おのれら何者!」
二人の味方を討ってとられ、かなり気おくれはしていたけれど、警護の武士はそう叫び、一斉に刀を引っこ抜いた。
と、一人の頭領らしい、黒装束の武士が進み出たが、
「我らは明暦義党の者、同志の一人五十嵐右内氏を、当方へ頂戴いたしたく、うち揃って推参仕ってござる。旅舎へ火かけたもわれわれでござる! ……五十嵐氏、おいでなされ!」