Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
怯えた声で梶子は訊いた。
「ご心配なさるな、大丈夫で、民弥殿を討ちには参りませぬよ。……人形を調べようと存じましてな」
云い云い三十郎は人形箱の前へ、ノッソリと行ってしゃがみ込み、人形箱の蓋をあけ、男女の人形を取り出して、畳の上へ並べて据えた。
絢爛豪奢に出来ているところの、この人形は穢い部屋の中に、高貴高価そのもののように、燦然として静もっていた。
「立派なものじゃ、立派なものじゃ」
と三十郎は感嘆しながら、恍惚とした眼で見守ったが、
「伊豆守様より鷹司家の姫君、簾子様へ贈る品物とのこと、梶子殿さようでありましたな」
「そうなんだよ」
と云いながら、梶子も人形の側へ寄り、
「女雛の冠と男雛の太刀柄とに、はめこまれてある素晴らしい宝石、それが大変高価なもので、日本などには滅多にない品とか。そうだろうねえ光の美しさ、見ていてウットリとしてしまうよ」
「贈る人が贈る人、贈られる人が贈られる人、品物が立派で高価なのは、当然のことでござりましょう」
云い云い三十郎は手を延ばし、美しい物へは触れて見たいという本能、それで男雛の太刀柄にある、宝玉を指でまさぐった。
と、忽然と雛の胸へ、長方形の穴があいた。