Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
「では……」
「さあ……」
と戸外へ飛び出し、呆気にとられ、不安に感じ、呼びかける旅籠の番頭の声など、耳にも入れず走って行った。
町を出外れ街道まで来た。
「あッ」
と菊女は地へ仆れた。
道に縄が張ってあって、それで足をさらわれたらしい。
バラバラと数人の人影が、並木の蔭から飛び出したが、菊女の上へ折り重なった。
「無礼者! 何をする! おのれがおのれが!」
しかしそう叫ぶ菊女の声は、やがてプッツリ絶えてしまった。
猿轡をかまされたからである。
「他愛なかったなア」
「アッハッハッ」
「さあ行こうぜ、担いで行こうぜ」
「ドッコイショ、いい気持ちだ。……野郎と違って娘っ子だから、担ぎ気持ちが素敵にいいや」
菊女を担いで数人の破落戸は、街道をドンドン走って行った。
こんな出来事のあったことも知らず、松浦民弥は宛はなかったが、敵三十郎に逢いたいものと、お城下をそちこち彷徨っていた。
(辻斬りの出るには時刻が早すぎる)
こんなことを思いながら、
(非人姿をしているような、そんな場合もあるとかいう噂。では非人小屋のある方へ)
こんなことも思いながら、町はずれの方へ足を向けた。