Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
(いい女だ、素晴らしい女だ)
と、三十郎は躍る胸で思った。
実は三十郎はずっと前から――というより梶子の附け人として、梶子のもとへやって来て、梶子とはじめて逢った時から、梶子のずばぬけた美しさと、男勝りの気象とに、すっかり心を奪われて、燃えるように恋しているのであった。
「梶子様」
と三十郎は、変ににわかに語調を変えて、媚びるような声で云い出した。
「お互いこのようにお親しくし、行動を一所に致しおります以上は、心にわだかまりありましては、面白くないように思われまする」
「そうとも」
と梶子は軽く受けた。
だが心では(変だね)と思った。(何を今になって云い出すのだろう)
「そうともさ、そのとおりだよ」
「そこで私は申し上げまするが、私はあなた様が大好きなので」
(おやおや)
と梶子はゾッとしながら思った。
(痣半面のこんな男に、好かれるなんて嬉しくないよ)
とはいえそうも云えなかったので、
「おやそうですか、それはそれは有難いとでも云っておきましょうよ」
「ところがどうやらあなた様には、私如き眼中になく……」
「…………」
「愛するお方が他にあるようで」
無言ではあったがジロリとばかり、梶子は三十郎を睨むように見た。