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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

伊豆守は眼を伏せた。

その唇は痙攣し、その頬も痙攣していた。

(これは美しい感情だ)

姉小路卿はそう思った。

(このような一代の大政治家が――鉄のような意志と神のような智恵との、権化そのもののようなこの人が、壮年の頃とは云いながら、女に対して恋などをし、しかもそれを今日が日まで、二十年後の今日が日まで、思い出として持っていたとは! ……これは美しい感情だ!)

自分にも涙が催された。

で、二人はまた黙した。

「これはお噂ではございますが」

と、姉小路卿はやがて云った。

「簾子姫には幾度となく、お輿入れの話がありましてな、九条家や中山家や近衛家などから、懇望されたそうにございますが、どうしたことかどれにもこれにも、厭じゃとばかり仰せられて、お断りなされたと申しますことで。……それで今日では尼僧かのように、いつも一室にとじこもりまして、香をたき花を活け、写経をし古書籍を読み、浮世をすてたようなありさまで、お暮らしなされておられますそうで」

「ははあ」

と伊豆守はそれを聞くと、空洞のような声でそう云った。そうしてまたも思いに沈んだ。が、ややあって云いにくそうに云った。