Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きょうさいかていえんまんじゅつ
猿々合戦
小野 佐世男
Lesen Sie 猿々合戦 (きょうさいかていえんまんじゅつ) von 小野 佐世男 (おのさせお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.526 Zeichen · 61 Bildschirme
釘はすっかり錆付いてほこりを浴びていた。もちろん他に水道の設備もあったので、母などは、
「まあまあ、よい井戸があるのに釘づけになっていておしいわね。でも子供が多いから、落ちでもしたらたいへんだし、当分このままにしておきましょうよ……」
と、笑いながら引越荷物をといたりしていたものだが……。
さて、近所に引越そばを配り終って、夕餉の膳がすんだ時、
「あなた、こんな立派な家なのに、ばかにお家賃が安いじゃありませんか」
と母が父に話しかけたのを聞いた。
庭に黒ずんだ蛙が、湿った土を滑りそうに這いずっている。後が水をふくんだ土手のせいか、どこよりも早く夜が訪れたように辺りは暗い。私は二階の自分の部屋に帰り、障子を開けて物干台に出た。
どこかで馬のいななきが聞える。つづいて遠く聯隊の消燈ラッパの音が、少年の私には物珍らしく又さびしく聞えた。
「坊ちゃま、ばかに淋しくていやですね。お台所にいると、なにかゾクゾクしてくるんですよ」
夜具を敷く女中のかやが私にこう話しかけた。私は本箱を整理してから、夜具にあおむいて足を思いきりのばした。
窓をしめたせいか、部屋の中はいやに蒸し暑い。