Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
景気にまき込まれて、女たちの或る者まで男といっしょになってけんか腰に物を言いつのる。
しかしこのはなばなしいにぎわいも長い間ではない。命をなげ出さんばかりの険しい一日の労働の結果は、わずか十数分の間でたわいもなく会社の人たちに処分されてしまうのだ。君が君の妹を女たちの群れの中から見つけ出して、忙しく目を見かわし、言葉をかわす暇もなく、浜の上には乱暴に踏み荒された砂と、海藻と小魚とが砂まみれになって残っているばかりだ。そして会社の人夫たちはあとをも見ずにまた他の漁船のほうへ走って行く。
こうして岩内じゅうの漁夫たちが一生懸命に捕獲して来た魚はまたたくうちにさらわれてしまって、墨のように煙突から煙を吐く怪物のような会社の製造所へと運ばれて行く。
夕焼けもなく日はとっぷりと暮れて、雪は紫に、灯は光なくただ赤くばかり見える初夜になる。君たちはけさのとおりに幾かたまりの黒い影になって、疲れ切った五体をめいめいの家路に運んで行く。寒気のために五臓まで締めつけられたような君たちは口をきくのさえ物惰くてできない。女たちがはしゃいだ調子で、その日のうちに陸の上で起こったいろいろな出来事――いろいろな出来事と言っても、きわだって珍しい事やおもしろい事は一つもない――を話し立てるのを、ぶっつり押し黙ったままで聞きながら歩く。