Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんちょうさらやしき

番町皿屋敷

岡本 綺堂

Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、お菊さんの母御か。ようお出でなされた」

お仙がお菊を呼んで来る間、お菊の母は台所の框に腰をおろして待っていた。七百石といえば歴々の屋敷であるが、主人の播磨は年が若い、しかもまだ独身である。一家の取締をするのは用人の柴田十太夫たった一人で、彼は譜代の忠義者ではあるが、これも独身の老人で元来が無頓着の方である。そのほかには鉄之丞、弥五郎という二人の若党と、かの権次、権六という二人の奴と門番の与次兵衛と、上下あわせて七人の男世帯で、鬼のような若党や奴どもが寄り集って三度の飯も炊く、拭き掃除もする。これが三河風でござると、彼等はむしろその殺風景を誇りとしていたが、かの渋川の伯母御から注意をあたえられた。いかに質素が三河以来の御家風とは申しながら、いず方の屋敷にもそれ相当の格式がある。殊にかような太平の御代となっては、いつもいつも陣中のような暮しもなるまい。荒くれ立った男共ばかりでは、屋敷内の掃除も手が廻らぬばかりか客来の折柄などにも不便である。これほどの屋敷をもっている以上、少なくとも然るべき女子供の二三人は召仕わなければなるまいというのであった。