Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
引っ込んでいろ。こっちはてめえ達を相手にするんじゃあねえ」
「然らば身どもを相手と申すか」
侍は編笠をはらりと脱った。彼は人品の好い、色の白い、眼の大きい、髭の痕の少し青い、いかにも男らしい立派な侍であった。
「仔細もなしに喧嘩を売る。おのれ等のような無落戸漢が八百八町にはびこればこそ、公方様お膝元が騒がしいのだ」と、彼は向き直って相手の顔を睨んだ。
唐犬びたいのひと群れが最初からこの侍に向って喧嘩を売る下心があったことは、次の事実に因っていよいよ証明された。唐犬びたいとほうろく頭巾のほかに、まだ三人の仲間が侍たちのあとをつけて来て、桜のかげに先刻から様子を窺っていたのであった。その中の親分らしい三十前後の男が、この時に双方の間につかつかと出て来た。
「仔細もなしに咬み付くような、そんな病犬は江戸にゃあいねえや」と、彼は侍を尻目にかけていった。「白柄組とか名をつけて、町人どもを嚇して歩く、水野十郎左衛門が仲間のお侍で、青山播磨様と仰しゃるのは、たしかあなたでごぜえましたね」
彼の鑑定通り、この若い侍は番町に屋敷を持っている七百石の旗本の青山播磨であった。