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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

同じ花でもナオミは野に咲き、綺羅子は室に咲いたものです。その引き締まった円顔の中にある小さな鼻は、まあ何と云う肉の薄い、透き徹るような鼻でしょう! 余程の名工が拵えた人形か何かでない限り、赤ん坊の鼻だってよもやこんなに繊細ではありますまい。そして最後に気がついたことは、ナオミが日頃自慢している見事な歯並び、それと全く同じ物の真珠の粒が、真赤な瓜を割いたような綺羅子の可愛い口腔の中に、その種子のように生え揃っていたことです。

私が引け目を感ずると同時に、ナオミも引け目を感じたに違いありません。綺羅子が席へ交ってから、ナオミはさっきの傲慢にも似ず、冷やかすどころか俄かにしんと黙ってしまって、一座はしらけ渡りました。が、それでなくても負け惜しみの強い彼女は、自分が「綺羅子を呼んで来い」と云った言葉の手前、やがていつもの腕白気分を盛り返したらしく、

「浜さん、黙っていないで何か仰っしゃいよ。―――あの、綺羅子さんは何ですか、いつから浜さんとお友達におなりになって?」

と、そんな風にぼつぼつ始めました。

「わたくし?」

と綺羅子は云って、冴えた瞳をぱっと明るくして、