Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しらねのふもと

白峰の麓

大下 藤次郎

Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

高く上れば多く見えるわけだ。脚は痛いが勉強して上る。初め三角形に白かった山は、肌が見えて来る。赭色をした地辷りも露われてくる。もう少しもう少しと上るうちに、南の方にもまた一つ白い峰が顔を出す。これは昨日見た悪沢岳だ。更に上り上って、終に一里あまりも来て、大きな山毛欅を前景に、三、四時間ばかり一生懸命に写生をした。

日は南へ廻って、雪の蔭は淡くコバルト色になる。前岳は濃いオルトラマリンに変る。近くには半ば葉の堕ちた巨木の枝が参差として「サルオガセ」が頼りなげにかかっている。朝から人にも逢わぬ。獣も見ぬ、鳥さえも啼かぬ、山中の白日は深夜よりもなお静かである。

写生が終った時は、日もよほど傾いた。元の道を下ること十余丁、山と前景の色の面白いところで、一枚のスケッチをして宿に帰った。まだ四時前なのに、もうランプが点いていた。

七

四日は曇っていた。今にも降りそうなので躊躇したが、十時頃出て見た。まず下の早川の岸へゆく、二、三丁のところだけれど、石道の急坂で、途中に水溜りもあるので、下駄ではゆけない。脚絆もつけ草鞋も穿いて武装しなければならない。