Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しらねのふもと

白峰の麓

大下 藤次郎

Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

坂を下ると人の住まぬ古家がある。たけ高き草が茂っている、家の前には釣橋がある、針金を編んで、真中に幅広からぬ板が一枚置かれてある。夏の頃、湯の客が毎晩来ては動かして遊んだとかいうので、足をかけるとグラグラと揺れて、僅か四、五間の板を蹈むにもよい心持はしない。

渡り終って、左の崖の崩れを強いて下ると小さな河原がある。上流から木を流す時、浅瀬に乗り岩に堰かれたおりに、水の中心に押やるため、幾人かの山人が木と共に下って来る。その人たちの歩む道が、砂の上岩の角に印を止めている。粘板岩というのであろう。薄く剥がれる黒い大きな岩を越えると、水際で、澄みわたった水は矢よりも早く流れてゆく、あたりには青い石も赤い石もある。霧のかかった上流の山、紅に染まった両岸の林、美しい秋の絵が一枚出来そうである。

私は、刻んで動く水を好まない。この川の上流は野呂川とよばれて、水は油のように、山影を浮べたまま静かに静かに流れているという、私はそういうところを画きたいが、この空模様で二里三里の奥へゆく勇気もなく、終にここの河原に写生箱を開くことにした。

空は漸く暗くなって、水の色が鉛のように光る。