Japanische Klassiker mit Furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 白髪鬼 (はくはつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.046 Zeichen · 224 Bildschirme
門内には何の物音もなく、如何にも主人を失った喪中の邸といった感じだ。瑠璃子は、定めし一間にとじこもって、あの美しい顔を涙にぬらし、わしの位牌とひそひそ話をしていることであろう。アア可哀相に、だが、わしが、生き返ったと知ったら、どんなに喜ぶだろう。きっと泣きわめきながら、わしにすがりついて来るに違いない。
別人の様に変りはてた、わしの姿を見て、さぞかしびっくりするだろう。歎くだろう。しかし、顔や形が変ったとて、あれ程愛し愛された心まで変るものでない。瑠璃子はわしの恐ろしい顔を見て驚きこそすれ、怖がったり、いやに思ったりする筈はない。あれは決してそんな薄情な女ではないのだ。
とは云え、このまま表門から這入ったのでは、あんまり不意打ちだし、この身なりが召使達に恥しい。裏門から庭伝いに瑠璃子の居間に忍び寄り、ソッと障子を叩いてやりましょう。どんなにびっくりするだろう。そして、どれ程喜ぶことだろう。
わしは高い生垣に沿って裏の方へよろめいて行った。裏に行く程木が茂って、月影をさえぎり、道も分らぬ暗さだ。裏門の戸を押すと、いつもの様に何なく開いた。よく川村が遊びに来て、夜ふかしをすると、この裏門を開けさせて置いて、ここから帰ったものだが、すると、彼は今夜も瑠璃子を慰める為にやって来ているのかしら。