Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくあしちがい
百足ちがい
山本 周五郎
Lesen Sie 百足ちがい (ひゃくあしちがい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.491 Zeichen · 56 Bildschirme
和尚はこういったそうだ。
――おらもう飽きただよ、もうこんねえにしててもしようねえ、……すっかり飽きただから、おらこれでお暇にするだから、げっぷう、……檀家の衆によ、そいってもれえてえだ、みなさん、ええへへへん、だんだおうぎゃあ、……わかっただかね。
そうしてだな、寺男がびっくりして、もしか病気なら医者を呼ぼう、どこか苦しいところでもあるのかときいたところ、和尚はけげんそうな眼をして、それからうっとりと眼をつぶって、さも気持よさそうに溜息をついたそうだ。
――世の中に、死ぬほど楽は、なきものを、うき世の馬鹿は、生きて働く、……ああ、いい気持だなあ。
そして息をひき取ったということだ」
又四郎は暫く黙っていた。それから、その妙な引導のようなもの、檀家の者に伝えろといった「ええへへへん」なる言葉には、いったいどんな深遠な意味があるのかと反問した。
「それがさ、そこにはいろいろ説があるんだが」喜兵衛もよくわからないようすだった、「梵語だろうという者もあるし、出羽国の山の奥の方言で、こんにちはごきげんはいかが、という意味だという者もあるんで、……あの和尚はふだんいろいろな土地の方言をごた混ぜに使っていたし、どうも後者の説のほうが正しかろう、まあ一般にそういう解釈のほうへ傾いているよ」