Japanische Klassiker mit Furigana
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ねぎさまみやた
禰宜様宮田
宮本 百合子
Lesen Sie 禰宜様宮田 (ねぎさまみやた) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.662 Zeichen · 68 Bildschirme
それがたまらない。
彼の心は、ただ土地が惜しい、年寄りの仕打ちが恨めしいというばかりではない、あのときの、あの歓びを憶い起すに耐えないような心持が――それだのにまた、憶い出さずにはいられない一見矛盾した感情が、自分でどう自分を処していいか分らないように湧き上る。
生活の基礎が、ぐらついている不安、家族の者共に対する愛情、真当な何物かに対する憧憬等が、彼には一つ一つこういう風な区別をつけられていないだけ、それだけ混雑したひとしお悩ましい心持になって、彼等の言葉で云う心配負けにとっつかれた状態にあったのである。
重い白土の俵を背負って、今日も禰宜様宮田は、急な坂道を転がりそうにして下りて来た。
窮した彼は、近所の山から掘り出す白土――米を搗くときに混ぜたり、磨き粉に使ったりする白い泥――を、町の入口まで運搬する人足になっていたのである。
できるだけ賃銭を貰いたさに、普通一俵としてあるところを、二俵も背負っているので、そんなに力持ちでもない彼の肩はミシミシいうように痛い。
太い木の枝を杖に突いて、ポコポコ、ポコポコ破れた古鞋の足元から砂煙りを立てながら歩いて来た禰宜様宮田は、とある堤に荷をもたせかけるようにしてホッと息を入れた。