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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

Lesen Sie 禰宜様宮田 (ねぎさまみやた) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.662 Zeichen · 68 Bildschirme

Aozora Bunko

五

何も彼にもが過ぎて行く……。

グングン、グングンと何でも彼んでも、皆どっかへ飛んで行ってしまう……。

いたたまれないような孤独の感に打たれて、彼の魂は急に啜泣きを始めた。

空虚が彼の心にも蝕んで来た。

彼の知らない涙が、あてどもなく凝視めているあのいい眼から、糸を引くようにこぼれ出て、疎らな髯のうちへ消えて行った。

五

収穫の後始末もあらかた付いて、農民がいったいに暇になると、かねがね噂のあった或る新道の開拓が、いよいよ実行されることになった。

町の附近にあるK温泉へ、今までは危い坂道で俥も通れなかったのを、今度その反対の側の森を切り開いて、自動車の楽に通る路をつけようというのである。

募集された人夫の一人となった禰宜様宮田は、先ず森の伐採から着手することになった。白土運びをするより賃銭も高し、切り倒した樹木の小枝ぐらいは貰っても来られるという利益があったのである。

深く、暗く、鬱蒼として茂りに茂っている森は、次第次第に開けるにつれて粗雑にばかりなって来た町に、まったく唯一の尊い太古の遺物であった。

すべてがここでは幸福であった。

たくさんの鳥共も、這いまわる小虫等も、また春から秋にかけて、積った落葉の柔かく湿った懐から生れ出す、数知れない色と形の「きのこ」