Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
と、お気のどくを感じた者もいたかもしれない。が、おそらくは万人が万人、それとは逆に、
「おなじ人間と生れながら」
と、金鳳の御輿にある人と、板ぶき小屋に生れついた凡下とをひきくらべて、つい羨ましくも見たであろう。
といっても、人皇九十六代の現世まで、天皇と民とは、生れ出ぬ以前から、こうあるものと、すでに約束づけられていた国土である。それ以上には、何を思いもせず悩みもせぬ群集ではあった。なおさらなこと、天皇御自身にも九五の尊を、自由のない不幸な地位などとは、ゆめ御思惟するはずもあるまい。
いや、みかどとしては、むしろ今日の朝覲の御儀も「時を得たしるしぞ」として、満足以上なおここち栄えのうちに、未来のおん夢も、さまざまだったのではあるまいか。
今上の後醍醐は、じつに前例のないほどおそい御即位だった。皇太子たるまま十年も臣下の吉田大納言定房の邸に養われ、つい四年前、おん年三十一で、万乗の君となられたばかりである。――時をえて、という御感慨は、今日ばかりのお胸ではない。
やがて。
先駆が通って、しばらくすると、彼方からおん輿の屋根にきらめく金色の鳳がゆらゆら見えて来た。