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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

「もとより探らいでは分りませぬ。この耳で、探りとったのでござりまする」

「どうして」

「腰に干飯を持ち、ひそかに、二日二た晩、評定所の床下に這い込みまいて……」

「ば、ばか者っ」

あたりの松に波音は高い。誰に聞かれる惧れもないとしてか、高氏は、体じゅうの声と怒りを、彼の頭へたたきつけた。

高氏は、激昂して。

「やい右馬介、そちに密偵を働けなどと、いつ、高氏がいいつけたぞ」

「一存です。まかりちがえば、その場で腹を切るまでと」

「あら、たわけよ。何でそんな愚かな思い立ちを」

「さほどな大事。陪臣ずれの右馬介が、われから目企むはずもおざらぬ。因は、お胸に問わせられい」

「何、身の胸に訊けと」

「されば、たれにもお洩らしできぬ大望が、まだ二十の若いお胸には、四六時中の重荷となっておわそうが」

「…………」

「むずかしい世の雲ゆき。しかも、登子さまとの御縁談もあるに、人にもいえぬ大望を負って、明日へのけわしい中原の争覇を思うなど、いや、空恐ろしいお行く末だ。そんな御主君を持ったこそ、身の因果よ」

「……な、なんじゃと」

高氏は、怪しみを、唸きにこめて。

「ううむ。察するに、そちは、この高氏が鑁阿寺の“置文”を披見したのを、いつか知っておるのだな。