Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
彼女は窶れて見えた。いつまでも、黙って坐りこんでいる姿には、異常なものすら感じられる。
泣き入る風情はなし、前非を悔いて、俊基のまえに謝罪りに来たなどという風でもない。
しばらく、素知らぬ顔していた俊基も、ついに言った。
「女。……何しに来た」
すると。――片隅から少しにじり出た波路の白い顔が、初めて灯影の輪に入っていた。
「あなたが、良人の頼春をたぶらかし召された、日野蔵人どのでございますね」
「はて迷惑な。そちの良人をたぶらかした覚えなどはないぞ。何を血迷うて」
「いいえ。良人の頼春のみか、あなたのお口に乗せられて、土岐左近どのも、多治見の一族も、みな無残な最期をとげておりましょうが」
「それこそは、逆恨みよ。船木頼春とその妻の裏切りが、かかる異変をよび起せしものと、俊基も聞き及ぶぞ。……さるを、どの面さげて、のめのめこれへ」
「ホ、ホ、ホ……」波路は必死なのである。上べは嬌笑にまぎらわせても、眉や眼ざしは、不気味な迫り方を持って。
「女の一念です。どこへお隠しなされようと、探し出さいではおきませぬ」
「誰が、誰を隠したか」
「あなたさまが」
「この俊基が」
「はい。