Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
資朝、俊基が関東の囚われとなった後も、中央における事変の余震は、一日たりと、熄んではいない。
六波羅の探索は、ますます露骨を極めていた。
何のかのと理由づけては、白昼、得物を持った鎧武者が、内裏にまで立ち入って来た。校書殿の大庭やら梨壺のあたりにすら、うさんな者が、まま見かけられたりするのだった。
「いまいましさよ」
朝廷の自尊には、耐えがたい侮辱であった。
特に、天皇後醍醐は、お気も烈しい。
まだ、法皇後宇多が御在世のうちは、その機鋒も、多分にひそめておいでだったが、この年六月、御父の法皇がみまかられた後は、いちばい“北条討伐”の密謀に積極的なお励みがみえていた。
常に何かの燃焼がなければ、あり余って、持て余すような健康と智と豪気とを併せておられるような御肉体だ。
それが志を共にする公卿側近や、野に潜む宮方の輩をして、いよいよ、
「時は近い」
と、理由もなく気負わせつつあったことは否みえない。
たとえば、近来の文談会なども、六波羅など眼中にもない振舞だったし、そこでの口吻は、みな天皇の御意志かの如く受けとられ、倒幕の大業も、宣旨一枚の料紙で足るような驕りに酔っていた風であった。