Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
夜来の警固武者のなかに立ち交じっていた足利又太郎と右馬介の主従であった。
暇乞いは、先の夜にすんでいる。それに伯父の憲房も、探題の正月行事でいなかった。ふたりは一睡の後、湯漬など食べ、旅支度にかかっていた。
すると、侍部屋の廊のかべを、サラ、サラ、と撫でつつ人の近づいてくる気配がした。そこの遣戸をスウと開けて、
「おじ様、お名残り惜しゅうございます。もう御帰国なされますか」
と、それへ坐り込んだ小法師がある。
まだ十一、二歳でしかあるまいに、いたましいことに、盲であった。
この盲少年は、母方の人の子なので、又太郎とは従弟にあたる者だが、父は地方の乱で早くに戦場で最期をとげ、子はこんな不具だったので、いかなる宿業ぞと、母なるひとも、足利ノ庄の一尼寺に入ってしまった。と、いう身の上なので、憲房が都へ伴い、さる公卿の許へ、琵琶の習得に通わせていたのである。
「……オ、覚一か。もそっと、こちらへお入り。して、なんぞ国の母者へ、ことづてでもして欲しいのか」
又太郎は六波羅に滞留中、この覚一から、友達のように、また、兄のようにも慕われていた。
覚一は、あまえ顔に、