Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
およそ天子が武臣へ、告文を以て、御身の潔白を立てんとされたなどは、和漢にもその例なく、何とも、情けない朝廷のお姿ではある。ここは冥々の神威犯すべからずと畏れ敬って、御返上申しあげておくのが北条家のためでもあり、行く末かけて、泰平長久の策とも、自分には考えられるが」
うなずく顔もなくはなかった。
しかしその二階堂道蘊の顔を睨まえて「……さらば御辺は、朝廷方か」と、今にも詰め寄りかねないような武人が、じつは大半以上であった。
ところが、この険しさも、とつぜん、奇児の哄笑みたいな調子外れの高笑いに、すぐはぐらかされてしまった。――上座の執権高時が、つづいてこう発言していた。
「二階堂。なにもさように、事むずかしゅう考えずとよかろうが。……せっかく下向した勅使も、開けぬ文筥では、持ち帰るにも、間が抜けようぞ、かたがた、それこそ辱の上塗りをして、追い返すようなもの。一倍の不敬ではないか」
日ごろ、小児のような他愛もないことをいうかと思うと、時には、こんな理窟も述べる高時だった。こんな折の彼は、自己の自意識を、見事、名君のように錯倒しているものかもしれない。
「なじか苦しかろうぞ。