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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

高氏は、うごかしていた団扇の手をやめた。ツイと吸い込まれるように迷れて来た蛍が、団扇の端にとまッたので、それを愛しむかのような沈黙をふとまもった。

憲房も、杯を啣んで。

「ときに、婚儀のお日取りですが」

「はあ」

「この秋の重陽(陰暦九月九日の菊ノ節句)はどうかと、昨日、赤橋どのから正式に相談してまいられましたが」

「それはまた、急ですな」

「急がよいとは、赤橋どのの仰せでもあるらしい。すでに結納などは、とうにすんでおること。またぞろ、不測な出来事によって、去年のような延々を見ぬうちにというお考えかと思われる」

「高氏はいつでもかまいません。すべて伯父君まかせ」

「では、それもお任せして給わるか。菊ノ節句、悪くない日でございましょうが。登子の君にもさだめし待ち久しいことでおざろう。……では、それときめて」

憲房は、さっそく、高氏へ一酌向ける。

蛍が二人を巡っていた。

吉日は近づいた。

かねがね、噂もなくはなかったが、足利、赤橋両家の婚礼が、いよいよ政所告示にもなり、また、執権高時から両家への正式な祝いの使者を見るやら、忙しげな出入り商人の往来などを知るにおよんで、人々はいまさらみたいに、