Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

金揉み烏帽子に黛の白拍子化粧がまたなく似合って哀しい胸を、そのまま脂粉で顔に描き現したもののように見えた。

「まこと。道誉さまのおいいつけで、ぜひものう、お祝いに参上したまででございまする」

「うそをつけ。そなたが望んだことであろうが」

「高氏さま」

「それみい、その眼ざし。わしを怨んでいるではないか」

「女ごころ。ゆめ、お怨みせぬとは申しません。けれど、今日はちがいます。取りみだれぬうちに、お使いの口上だけを申しまする」

「よせ。心にもない祝いなど聞く耳持たん」

「でも、申さいでは帰れません。このたびはおめでとうぞんじまする。心ばかりな品々は、この目録と共に、どうぞお納めおき給わりませ」

「なぶるのか、わしを」

高氏は、彼女がそこへさし置いた目録の奉書を、すぐ引ッ奪くって、破り捨てた。

「女っ」

「……はい」

「それは道誉の口上か。そなたの皮肉か」

「道誉さまです。道誉みずから参上するところなれど、風邪ごこちゆえ、あしからずとの、おことばでもありました」

「ならば、なぜ断らぬ。道誉のいうがまま、かような使者となって、のめのめ来たか」

「嫌と否めば、義父の花夜叉も、憂き目にあい、一座の者も、近江の御領下から追われましょう。