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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

彼もつい、彼女と共にぼろぼろ泣いて。

「不知哉丸の身は、その後も、つつがなく、田舎童のあいだで育っておると、右馬介の実家から便りもあった。親は無うても子は育つとか」

「預けられた田舎はどこでございましょうなあ」

「三河の一色」

「近江とこことの往来には、あの近くもよう通りまする。よそながらでも、和子の育ちを見に寄ってはなりませぬか」

「よすがいい。時来たれば、会わせてやる。――三河一色、吉良、今川、その他、あの地方には足利家の同族が、郷を接して、びっしりと住み合うておる。和子の行く末を思うなら、せめて元服の年頃まで待て」

「ああ、見たい」

藤夜叉は、また、身を揉んで。

「この秋は、四ツになります。遊ぶにも、はや駈け歩いておりましょうに」

「もう四ツかのう」

「あなたは、見とうも何ともありませぬか」

「……藤夜叉」

「あい」

「今となって、何の愚痴だ。そなたも、一切は得心ずくで、右馬介の手に、和子を預けたはずであろうが」

「よう、わきまえてはおりまする。われとわが身に、いい聞かせてもおりまする。でも、女の哀しい身は、眠られぬ夜々を、どうする術もございません。いっそ死のうか。