Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
だから六波羅の放免根性にかぶれるわけではないが、民もおのずから「またいつ、正中ノ変みたいな大事が降ッて湧くンじゃないか」と、つい不安も生じ、あらぬ疑心にも、ひッかかると申すもの。
しかのみならず、だ。
今上、後醍醐のお動きはいよいよ活溌で、鎌倉など、はや御眼中にありともみえぬ。といっても、雲の上のこと、凡下の臆測でもあるが、ここ三年つづきの法勝寺行幸やら、また、このたびの東大寺、興福寺、春日御社参といったような車駕のお忙しさは、そも何のためか、理解にくるしむ。
お費えは、莫大だし、そのつどの供御人やら何やらの徴発も、民土には、やりきれまい。
聞説、その上にも。
この三月中には、さらに叡山へ行幸され、大講堂の御供養とか、日吉社参とかの、御予定もはやあるとか。それらを洩れ聞くにつけ、一般の者が「……これやよも、ただ事の御祈願ではあるまいぞ、内々、南都や叡山へお手を廻して、お味方に馴付けんとする御心でもあろうや?」、と耳こすりするのも、あながち愚民の妄とのみはいえまい。
正直、かくいう自分も愚民と共に、世の先を案じる者だが、考えてみると、あんたは霞を食ッて生きている山伏だったな。