Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
秋もいつか十月を過ぎ、肥馬天に嘶くときを、その将軍の宮は、神泉苑の御所のふかくに、若さと智と、また多血から来る鬱々な忿懣とをやりばなくしておいでだった。
あり余る若さと鬱のやりばとして、宮はよく洛外へ狩猟に出た。供にはいつも吉野、十津川いらいの猛者を大勢つれていた。
木寺相模、岡本三河坊、野長七郎、矢田彦七、平賀三郎などである。これら原始人めいた郷士出身の一群は、みずから宮将軍の功臣と誇ッて、他人を下に見、社会の規矩にも嵌らない荒くれだった。――がしかし、宮には猫のごとく慴伏して何一ついやがるということはない。御命とあれば水火の中へでもとびこんでゆく。宮にはこれがたまらない御快味だった。宮廷人の中では味わえないものである。猛獣使いのみが知る鞭の快とおもしろさであるらしかった。
「良忠です。戻りまいてございまする」
「お、帰ったか殿ノ法印。して忠顕の返辞は?」
「千種どのには、やはりこのさいは、とばかりで……」
「狩猟はよせという意味か」
「世間の目、いかがなものかと」
「小心な奴の」
大塔ノ宮は笑って。
「ではなお、四十九日は喪に服して、諸事、門を閉じたままでいろと申すのだな」