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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

それから、ごくさりげなく云った。

「北畠から使いがありましたので、これからちょっといってまいります」

役所の用とでも云えばいいのだが、彼はそういうことはへたでもあるし、父にはどうしてもごまかしが云えなかった。良平は明らかに不快そうで、咎めるように、じっとこっちの眼を見た。

「たぶん、こんどの縁談のことだろうと思うんです」孝之助は赤くなりながら云った、「――話が済みしだい戻ってまいります」

彼は独りで家を出た。

北畠というのは所のことで、城の東方に当り、古くは藩侯の山荘であった。叔母の千寿が先代の殿さまに貰い、もう二十六七年もそこに住んでいる。そのことが、父との不和の原因なのだが、ごく簡単に記すと……千寿はひじょうに才はじけた人で、十六歳の年、先殿の甲斐守利光の眼にとまり、その側室にあげられた。それも利光の自発的な意志ではなく、彼女のほうから誘惑した、という噂がもっぱらであり、どうやらそれは事実だったらしい。

――家名を汚すやつだ。

良平はひじょうに怒った。相当に折檻もしたようであるが、妹はびくともしなかった。しまいにはひらきなおって、

――わたくしはただの躯ではありません。