Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

…おまえがもし、岡村でなく、他の人間を愛していたのだったら、私は決してあんなふうにはしなかったと思う、八束は才気も手腕もあった、世間の評もひじょうに良かった、しかし私の眼にはそうみえなかった、彼の才腕はいつか彼自身を誤り、周囲の人々を傷つけるように思えた、そして、彼は偶然そういう不始末をした。

いつか笠井でも話したが、もうはっきり云ってもいいだろう、彼は御用商人と謀って、不正に役所を利用し、役所の金を費消したのだ、そのとき私は、自分の眼がまちがっていなかったと信じ、どうしても杉乃を彼の手に渡してはならない、と思った。

こうして無理におまえを娶った、私はおまえを愛していたが、それ以上に、おまえを不幸にしたくなかった、恋はなにより美しく尊いものかもしれない、しかし人間には生活がある。生きてゆくには辛抱づよい努力と、忍耐が必要だ、しかもその道は嶮しく遠い、思わぬ災厄や病苦にもみまわれるであろう、……私はそういうものからおまえを護りたかった、風雪に当てたくない、苦しみや悲しみを味あわせたくない、平安な家庭と、温たかく満ち足りた暮しを与えたい、これがなによりの願いだった」