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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

孝之助はちょっと言葉を切った。口に出してみると、自分の小心さやじみちな考えがはっきりして、われながら哀れに、悲しくなったのである。

「だが私は間違っていた」と彼は続けた、「――八束は失敗をしたが、それは若気のあやまちにすぎなかった、彼は私のような小心者にはわからない、大きな素質をもっていたのだ、彼はきれいに失敗を償い、もっている才能をみごとに発揮した、……彼はいま御側用人になった、やがては世評どおり、国老にもなるだろう……十年まえに、もし私があんな無理なことをしなければ、おまえは八束の妻になり、今夜の盛んな宴にも側用人の妻として、あの客たちの尊敬を受けることができたのだ、あの妻女の席は、そのままおまえのものになったのだ」

「もう結構でございます、それ以上は仰しゃらないで下さいまし」

杉乃はこう遮って、眼をあげて良人を見た。孝之助は黙った。妻の声はふるえ、その眼は濡れた光りを帯びていた。

「お詫びを申さなければならないのは、わたくしでございます」杉乃は云った、「――でもお詫びは申上げません、どのように言葉を尽しても、それで詫びのかなうことではございませんから、……杉乃は愚かで、頑なで、心の浅い女でございました。