Japanische Klassiker mit Furigana
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かがりびのおんな
篝火の女
吉川 英治
Lesen Sie 篝火の女 (かがりびのおんな) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.727 Zeichen · 56 Bildschirme
攻め口はわずかに、この河原と、安中から下後閑の山道を経てかよう二口しかないのである。何万の兵馬を集めてみたところで無駄だった。
武田勢は、箕輪城を抜くと、
(後は北条にまかせる)
と、云わないばかりに、抑えの軍馬だけを残して、あらかた凱旋してしまった。相木熊楠は、この難攻不落な城の正面にあてられて、甲州方の諸将からも、小田原の味方からも、今や、その器量を試されているような立場にあった。
(落す! きっと落してみせる!)
彼の眉宇には、無言のうちに、その信念がほの見えるが、もう八月に入っている。やがてこの碓氷川に、秋風の立つのはすぐだ、秋風がふくかと思えば、赤城、榛名の頂きに雪を見るのも又すぐだ。
とこうする間に、謙信自身が、上杉勢の精鋭をすぐって、三国越えから潮のように、上毛の野に殺到したら何うなることか。
部下は、彼の顔を仰いで、
『すこし、痩せたぞ』
と、心配してき合った。
たしかに、相木熊楠の頬には、痩せが見えてきた。――今、手枕をかって、楯の上に、うつらうつらと眠っているその顔を月明りに眺めても。
黒髪刺客
うかと、相木熊楠は、眠り落ちてしまったらしい。