Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
には啓坊が、病人の枕元でごろ寝していたらしかった)うーん、うーん、と云う声が聞えて来たので、病人が苦しみ出したのか、それとも魘されてでもいるのか、啓坊が附いている筈だのに、と思いながら、急いで起きて、病室のドーアを半分ばかり開けかけた時であった、「こいさん、こいさん」と、頻りに呼び起している啓坊の声に交って、こいさんが一と声、「米やん!」と、呼ぶのが聞えた。こいさんが叫んだのは一度だけで、それきり夢が覚めたらしかったが、でもその声はたしかに「米やん」と云ったに違いなかった。自分はこいさんが正気に復った様子だったので、又そうっとドーアを締めて、寝床に這入ったが、病室の方もそのあと直ぐにひっそりとしてしまったから、多分何事もなかったのであろうと、その時はそう思った。自分は安心すると同時に数日来の疲れが出て、それから二三時間もとろとろとしていたが、明け方の四時過ぎ頃に、いつもの腹痛と下痢が始まって、こいさんがえらい苦しがり出して、一人では手に負えなくなったので、啓坊が起しに来た。自分はその時からずっと起きてしまったのであるが、今朝になって考えると、あの「米やん」