Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
樹をも植えず、四月ともなればあの峰の上の花の雲を、心静かに賞美しようと云う趣向なのである、と御牧は云って、今年のお花見には是非お立ち寄りになるんですな、ここで弁当をお開きになって、あの座敷から遠山桜を御覧になることですな、それこそ親父がどんなに喜ぶか知れませんよ、などと云った。やがて、そろそろお支度が出来ましたから、と云うことで、最初に茶席へ導かれ、御牧の妹に当るとか云う、大阪の紳商園村家に嫁いでいる夫人の手前でお茶があり、広間へ移って晩餐の席に就いたのは日が暮れてからであったが、料理は特に心づくしの籠ったもので、柿伝あたりの仕出しであろうと、京都の食味のことに委しい幸子は推した。子爵の広親老人は、いかにも公卿の血を引いている、衣冠束帯の似合いそうな風貌の持主で、痩せた、面長の、象牙のような血色をした、ちょっと能役者と云った感じの人で、見たところ、円顔で色の黒い忰の御牧とは少しも似ていないようであるが、それでもじっと見比べると、眼つきと鼻の恰好に何処やら共通した点がないでもなかった。が、顔よりも寧ろ肌合が忰とは全く反対で、忰の実は陽気で濶達な方であるが、父の広親は陰性の、謹厳と云う方の人であるらしく、つまり典型的な「京都人」