Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
は義兄の銀行の上役の人なども仲に這入っていることを知って、義兄を一層難儀な羽目に陥れるように、わざと返事を遷延させた傾きもないではなかった。………孰方にしてもあの男とは縁がなかったのだけれども、たまたまそんな家庭的不和の中へ飛び込んで来て、兄妹喧嘩の道具にされたのはあの男の不運であった。………自分はそれきりあの男のことなど念頭に浮かべたこともなく、噂に聞いたこともなかったが、あれから直きに誰かと結婚したことであろうし、今では子供の二三人もあることであろう。そして恐らくは三枝家の家督を継いで資産家の主人になっているでもあろう。………彼女はそこまで考えつづけて来て、自分が今頃あの田舎紳士の妻になっていたら、―――と思うと、負け惜しみでも何でもなく、決してその方が幸福であったと云う気はしないのであった。あんな工合に、東海道線の辺鄙な駅と駅との間を、悠長な普通列車に乗って往ったり来たりしつつ年月を送るのがあの男の生活だとすれば、そんな人に連れ添うて一生を終るのが何の仕合せなことがあろう。自分はやっぱりあんな所へ行かないでよかった、としか思えないのであった。