Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

に帰って貰ったら、と考えつき、そのことを雪子に相談すると、「水戸ちゃん」自身も、もうお暇を戴きましょうかと云っているのだと云うことなので、そしたら急のようだけれども、今日、あたしが戻る迄いて貰って、晩の御飯でも食べてから帰るように雪子ちゃんから話しといて、と云い置いて、病院まで直行することにして十二時に自動車を命じた。

行って見ると、中山手の電車通を山手の方へ半丁程上った細い坂路の中途にある、病院と云っても二階建ての見すぼらしい医院で、階上に日本間の病室が二つ三つあるに過ぎなかった。板倉の部屋は六畳間で、窓の外に裏側の家の物干台が近接してい、洗濯物が何枚も吊るしてあるのが鬱陶しく、セルの単衣の頃なので、四五人の人間がそこらに坐ったり腰掛けたりしている風通しの悪い室内が汗臭くいきれていたが、病人は、右手の壁に寄せつけてある鉄の寝台に、壁の方を向いて、背中を少し円くして臥ていた。幸子は此処へ這入った時から、その病人が、低い、しかし非常な早口で、「痛い痛い痛い痛い」と一秒間の休みもなしに云いつづけているのを聞いたが、それは彼女が妙子の紹介で病人の両親や、嫂や、妹などと挨拶を取り交している間じゅうそうであった。