Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶんがくずきのかていから
羅生門・鼻・芋粥
Lesen Sie 羅生門・鼻・芋粥 (ぶんがくずきのかていから) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.240 Zeichen · 69 Bildschirme
柩のそばには、松根さんが立っている。そうして右の手を平にして、それを臼でも挽く時のように動かしている。礼をしたら、順々に柩の後ろをまわって、出て行ってくれという合図だろう。
柩は寝棺である。のせてある台は三尺ばかりしかない。そばに立つと、眼と鼻の間に、中が見下された。中には、細くきざんだ紙に南無阿弥陀仏と書いたのが、雪のようにふりまいてある。先生の顔は、半ば頬をその紙の中にうずめながら、静かに眼をつぶっていた。ちょうど蝋ででもつくった、面型のような感じである。輪廓は、生前と少しもちがわない。が、どこかようすがちがう。脣の色が黒んでいたり、顔色が変わっていたりする以外に、どこかちがっているところがある。僕はその前で、ほとんど無感動に礼をした。「これは先生じゃない」そんな気が、強くした。(これは始めから、そうであった。現に今でも僕は誇張なしに先生が生きているような気がしてしかたがない)僕は、柩の前に一、二分立っていた。それから、松根さんの合図通り、あとの人に代わって、書斎の外へ出た。
ところが、外へ出ると、急にまた先生の顔が見たくなった。なんだかよく見て来るのを忘れたような心もちがする。