Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうねん
美少年
岡本 かの子
Lesen Sie 美少年 (びしょうねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.417 Zeichen · 27 Bildschirme
その残念さを圧し消すよう、わざと力んだ声でいった。
「へん、女ひでりはしやあしめえし、おいらだって美少年の時春だ。いずれ見返えしてやらあな」
わたしの手を引いて、斜向いの見世物小屋の方へ道を横切って行った。鼠っぽのおじさんは「あとで砂場で逢おうぜ、話があるんだ」と叫んでいた。
わたしはこの少年になにをなされてることやら判らない気がしたが、もうこうなったら少年に対する愛憎の気持の繋りは除れてしまって、ただ鼠があたしをどこまで引いて行くだろう。今度はどんな技術をするだろうと白々した興味を覚えながら
「あのお雛妓さん。ふだんあんたのいうあの御自慢のお雛妓さんなの」
と訊いてみてやった。
少年はすっかり憂鬱になっていて
「あのくらい本心の判らないやつはないんだ。感情を殺すことに慣らされてしまったんだな」
といった。
わたしからみれば、それは少年の他愛もない思い過しであることはすぐ判る。あの女は恋とか愛とかには全然興味をかけない生活にのみかまける素質に生れ附いた女なのだ。少女であれ、同性の洞察力を働かすことによってわたしにはすぐ判る。少年はそれに気付かずに複雑深刻に解している。