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Japanische Klassiker mit Furigana

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おに

聴雨・蛍 織田作之助短篇集

織田 作之助

Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

近所の郵便局から午後三時に送っても結局いったん中央局へ廻ってからでなければ、汽車には乗らないのだ。

そう思うと、新吉はもう寝床から這い出していた。そしてまず注射の用意をした。覚醒昂奮剤のヒロポンを打とうとしたのだ。最近まで新吉は自分で注射をすることは出来なかった。医者にして貰う時も、針は見ないで、顔をそむけていたくらいである。ところが、近頃のように仕事が忙しくて、眠る時間がすくなくなって来ると、もうヒロポンが唯一の頼りだった。夜中、疲労と睡魔が襲って来ると、以前はすぐ寝てしまったが、今は無理矢理神経を昂奮させて仕事をつづけねば、依頼された仕事の三分の一も捗らないのである。背に腹は代えられず、新吉はおそるおそる自分で注射をするようになった。ヒロポンは不思議に効いたが、心臓をわるくするのと、あとの疲労が激しいので、三日に一度も打てない。しかし、仕事のことを考えると、そうも言っておれないので、結局悪いと思い乍ら、毎日、しかも日によっては二回も三回も打つようになる。その代り、葡萄糖やヴィタミン剤も欠かさず打って、辛うじてヒロポン濫用の悪影響を緩和している。