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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうどく

聴雨・螢 織田作之助短篇集

織田 作之助

Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

といっても、祭の晴着もなかったが)暑い家の中でヴァイオリンを弾かされていたのである。

そこはゴミゴミした町中で、家が建てこみ、風通しが悪かったが、ことにその部屋は西向き故、夏の真夏の西日がカンカン射し込むのだった。さすがの父親もたまりかねたのか、簾をおろし、カーテンを閉めて西日を防いだのは良かったが、序でに窓まで閉めてしまったので、部屋の中はまるで火室のような暑さだった。が、父親の言うのには、

「太鼓の音が喧しゅうていかん」

窓をあけて置けば、ヴァイオリンの練習の邪魔になるというのである。

そんな父親であった。ヴァイオリンのことになると、まるで狂人のようになってしまう父親であった。だから、寿子は祭に行きたいと駄々をこねることも出来ず、毛穴という毛穴から汗を吹きだしながら、ちいさな手に力をこめて、弾いていた。額の汗が眼にはいるので、眼を閉じ、歯をくいしばり、必死のようであった。が、心はふと遠く祭の方へ飛ぶ瞬間もあった。

曲は「チゴイネルヴァイゼン」――七つの春、小学校にはいった時から、ヴァイオリン弾きの父親を教師に習いはじめて、二年の間に、寿子はもうそんな曲が弾けるようになった位きびしく仕込まれていたのだ。