Japanische Klassiker mit Furigana
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たいない
胎内
三好 十郎
Lesen Sie 胎内 (たいない) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.766 Zeichen · 136 Bildschirme
花岡は、村子と並んでアグラを組んで坐り、膝のわきに積み上げたサツのタバを取って、馴れた指つきで、くりかえしくりかえし、計算している。佐山のナイフで斬られたアゴの一文字のキズからふきだした血が、かたまって黒く見える。サツのパスパスパスという音と、どこかで水のしたたる音。……静けさと、不動と、無表情は、最後まで、みだされない。
佐山 ……(ウィスキイを飲みほして、コップの底を見ていたが、やがて、コップを花岡の方へ突き出す)
花岡 ……(自分の顔と手のサツの間に出たコップを見ていた後に、顔をあげて佐山を見る。その表情に悪意も反感もなく、ただ意味がわからないようである。うたがわしそうな顔をして、頭を横に振る。……それを見て、佐山がコップを村子に渡す。村子は機械的に――腕の関節の動きからも、なめらかさが失われて、コキコキした動かしかたで――コップを受け取る。佐山がビンを取って、それにウィスキイをつぐ、花岡はすぐにまたサツの計算にもどっている。……村子ウィスキイを飲む)
佐山 ……(その村子の、あお向いたノドが動くのを、ボンヤリ見ながら、単純な、そして意外に明るい調子で)……だから――自分の心臓の音を、そうだと聞きまちがえたんだ。