Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
果たして三人のしれ者たちが去ったあと、お高は彼にこう云ったのである。
「もう少しだからお待ち、おせんをきっとおまえの嫁に呼んでやるよ、家だってお金だって決して心配することはないんだよ」
家には本当に巨万の富がある。そして母親はそれを知っている。八百助はこう確信した、母子は僅かな土地を借りて畑を作り、黙々とみじめたらしい生活を始めたが、それもほんの十日ばかりのことであって、不幸はつれ立ってくる約定にそむかず最後の悪運にみまわれた。それは畑で土を打っていたお高がとつぜん倒れて死んだのである、脳溢血というのであろう、ぱたっと倒れて大きな溜息をもらしたと思ったら、それでもう十万億土へ旅立ってしまった。――こんどこそ八百助は泣き叫び、地面へ身を投げて天地をのろった。ひそかに母子を監視していた権右衛門にとっても、これは意外な失望であり思いがけない当はずれであった。しかしごんえむ殿がお高の葬式をしてやった事は、真実のために記録しなければならぬだろう。巨富の所得はいちおう延期になったが、これで八百助さえおい出せば五千両は鐚一文返さなくとも済むごんえむ殿はむしろ欣然として(しかしできるだけ安直に)野辺の送りをしてやったのであった。