Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
以来どれほど懇願にいってもまったく験がない、八百助はそこで氏神を訪ね、さらに一郡の鎮守から稲荷さん八幡殿まで手を延ばした。――そしてやがて父と一緒に京へ上るようになると、往復の道にありとある神社、仏堂から石地蔵にまで渡りをつけた。しかし申し神である曾古津様の失敗を、縁もない神々が責任をもつわけがなく、彼は三つの所有物を持ったままで十五歳を迎えた。その年の冬のある夜のこと、――早く寝床に入っていた八百助は、夢うつつのうちに隣りの部屋で父と母とがこんな話をしているのを聞いたのである。
「三つ岩のひじ蔵は玉にして一万、南谷の石蓋に小判で八千、穴底の砂金は量ってみなければわかるまいがお祖父の代から二百万という云い伝えがある」
「そんなことまで云わなくても相談はできますよ」
と母親が云った、「権右衛門さんは金儲けのためならどんな事でもするし、儲かりそうな金のためならそれ以上のことをしますからね」
「金にものを云わせるなんて情けない話しだが、あんな躯にした親の責任として、おれたちに出来るだけの事はしてやらなければならない、ただ心配なのはあの娘だ、権右衛門どんは承知するだろう、けれどもおせん坊が年ごろになっていざというとき、あの子のところへ来てくれるかどうかだ」