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Japanische Klassiker mit Furigana

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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

「兼尾さまそんな、兼尾さま」

たまりかねてこう証人席の権衛殿が声をかけた、だが判官殿は額から汗を流し、眼を怒らせて論証を続けられた、

「黙れ、拙者は代官ちゅうの代官である、権右衛門が不埓無道なればこそ懇談をいたし、彼より賄賂金五両を取って汝八百助には五十叩きをくらわした、なんとなれば、かかる明白なる事実を訴えるのみか、半銭の賄賂も差し出さぬは上をうやまわず法を怖れざるいたし方なればこそだ、賄賂なしに法の行なわれることなく代官あって賄賂なきためしもない、賄賂、まいない世はあげて賄賂である」

このとき臨席の御奉行閣下が大喝あそばされ、四人の与力が取り押えにゆかなかったら、兼尾殿はさらに万丈の賄賂論を開陳されたであろうし、法廷は居酒屋か道化芝居の観を呈したに違いない、――だが兼尾代官はなにがゆえにかかる論述を行なったのか、その点は筆者にも判断しがたいが、この論述ちゅう八百助がひそかになにか呟やいていたことだけを(多分お察しでもあろうが)お知らせ申しておこうか。

兼尾代官は涜職の罪によって拘引され、権右衛門も再び牢舎へ戻された。御奉行閣下は改めて八百助を別室へ招待し、茶菓のもてなしと鄭重な慰藉の挨拶をした。