Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうもおやすくないのね。」

「馬鹿にしてやがるなア。」

慶三はどんな芸者とお客だか見えるものなら見てやろうと、何心なく立上って窓の外へ顔を出すと、鼻の先に隣の裏窓の目隠しが突出ていたが、此方は真暗、向うには燈がついているので、目隠の板に拇指ほどの大さの節穴が丁度二ツ開いてるのがよく分った。慶三はこれ屈強と、覗機関でも見るように片目を押当てたが、すると忽ち声を立てる程にびっくりして慌忙てて口を蔽い、

「お千代お千代大変だぜ。鳥渡来て見ろ。」と四辺を憚る小声に、お千代も何事かと教えられた目隠の節穴から同じように片目をつぶって隣の二階を覗いた。

隣の話し声は先刻からぱったりと途絶えたまま今は人なき如く寂としているのである。お千代は暫く覗いていたが次第に息使い急しく胸をはずませて来て、

「あなた。罪だからもう止しましょうよ。」

とこの儘黙って隙見をするのはもう気の毒で堪らないというように、そっと慶三の手を引いたが、慶三はもうそんな事には耳をも借さず節穴へぴったり顔を押当てたまま息を凝して身動き一ツしないので、お千代も仕方なしに最一ツの節穴へ再び顔を押付けたが、兎角する中に慶三もお千代も何方からが手を出すとも知れず、二人は真暗な中に互に手と手をさぐり合うかと思うと、相方ともに狂気のように猛烈な力で抱合った。