Japanische Klassiker mit Furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lesen Sie 若殿女難記 (わかとのじょなんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.611 Zeichen · 45 Bildschirme
「しかしすぐ付くという訳にもまいりますまいが」
「それは原野氏の才量に任せよう、其許が若殿お付ということは通じてあるから、それに坂次昌治郎もおることゆえ故障はあるまい」
「さよう、たぶん面倒はございますまい」原野九郎兵衛が頷いた。「ではそろそろ立つと致しましょう――」
伝吉を挾んで、宙野儀兵衛と原野が立った。かれらは身支度を直し物具を着けて、人眼を忍ぶように雨宿の裏から出た。そこには三人の侍が待っていて、無言のままかれらを導いてゆき、宿はずれの雑木林へはいったと思うとみんな馬に乗って、そぼ降る小雨の夜道を西へ向って去っていった。
――せっかく明るい部屋へ御案内したものの、これもまたいんちき臭くいかがわしい場面と相成ってまことに恐縮である、しかしお蔭で話は滑りだしたようだ、我々もひと晩ゆっくり眠ると致そう。
翌日、本陣太田屋の前には森家の定紋をうった幕を張り、打水、盛砂という、諸侯御宿泊の正式の用意が整えられた。即ち森伯耆守の若殿大助さまが津山の国許から出府され、今日この金谷へお着きになる、五十塚紋太夫はじめ十七人は、江戸邸からここまで出迎えに来たものなのであった。