Japanische Klassiker mit Furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme
とこざっぱりした前かけの膝を拍き、近寄って声を密め、
「これは、もし気ちがいでござりますよ。はい、」
と云って、独りで媼は頷いた。問わせたまわば、その仔細の儀は承知の趣。
三
小次郎法師は、掛茶屋の庇から、天へ蝙蝠を吹出しそうに仰向いた、和郎の面を斜に見遣って、
「そう、気違いかい。私はまた唖ででもあろうかと思った、立派な若い人が気の毒な。」
「お前様ね、一ツは心柄でござりますよ。」
媼は、罪と報を、且つ悟り且つあきらめたようなものいい。
「何か憑物でもしたというのか、暮し向きの屈託とでもいう事か。」
と言い懸けて、渋茶にまた舌打しながら、円い茶の子を口の端へ持って行くと、さあらぬ方を見ていながら天眼通でもある事か、逸疾くぎろりと見附けて、
「やあ、石を噛りゃあがる。」
小次郎再び化転して、
「あんな事を云うよ、お婆さん。」
「悪い餓鬼じゃ。嘉吉や、主あ、もうあっちへ行かっしゃいよ。」
その本体はかえって差措き、砂地に這った、朦朧とした影に向って、窘めるように言った。
潮は光るが、空は折から薄曇りである。
法師もこれあるがために暗いような、和郎の影法師を伏目に見て、