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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

もない。東京にはどこといって口にはいえぬが、やはり何となく東京らしい固有な趣があるような気がするであろう。

もし今日の東京に果して都会美なるものがあり得るとすれば、私はその第一の要素をば樹木と水流に俟つものと断言する。山の手を蔽う老樹と、下町を流れる河とは東京市の有する最も尊い宝である。巴里の巴里たる体裁は寺院宮殿劇場等の建築があれば縦え樹と水なくとも足りるであろう。しかるにわが東京においてはもし鬱然たる樹木なくんばかの壮麗なる芝山内の霊廟とても完全にその美とその威儀とを保つ事は出来まい。

庭を作るに樹と水の必要なるはいうまでもない。都会の美観を作るにもまたこの二つを除くわけには行かない。幸にも東京の地には昔から夥しく樹木があった。今なお芝田村町に残っている公孫樹の如く徳川氏入国以前からの古木だといい伝えられているものも少くはない。小石川久堅町なる光円寺の大銀杏、また麻布善福寺にある親鸞上人手植の銀杏と称せられるものの如き、いずれも数百年の老樹である。浅草観音堂のほとりにも名高い銀杏の樹は二株もある。小石川植物園内の大銀杏は維新後危く伐り倒されようとした斧の跡が残っているために今ではかえって老樹を愛重する人の多く知る処となっている。