Japanische Klassiker mit Furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme
浅草の観音堂について論ずれば雷門は既に焼失せてしまったが今なお残る二王門をば仲店の敷石道から望み見るが如き光景である。あるいはまた麻布広尾橋の袂より一本道の端れに祥雲寺の門を見る如き、あるいは芝大門の辺より道の両側に塔中の寺々甍を連ぬるその端れに当って遥に朱塗の楼門を望むが如き光景である。私はかくの如き日本建築の遠景についてこれをば西洋で見た巴里の凱旋門その他の眺望に比較すると、気候と光線の関係故か、唯何とはなしに日本の遠景は平たく見えるような心持がする。この点において歌川豊春らの描いた浮絵の遠景木板画にはどうかすると真によくこの日本的感情を示したものがある。
私は適度の距離から寺の門を見る眺望と共にまた近寄って扉の開かれた寺の門をそのままの額縁にして境内を窺い、あるいはまた進み入って境内よりその門外を顧る光景に一段の画趣を覚える。既に『大窪だより』その他の拙著において私は寺の門口からその内外を見る景色の最も面白きは浅草の二王門及び随身門である事を語った。然れば今更ここにその興味を繰返して述べる必要はない。
寺の門はかくの如く本堂の建築とは必ず適度の距離に置かれ、境内に入るものをしてその眺望よりして自ら敬虔の心を起さしめるように造られてある。