Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme
もし当初の武蔵野の趣を知りたいと願うものは此処にそれを求むべきであろう。高低のある広い地は一面に雑草を以て蔽われていて、春は摘草に児女の自由に遊ぶに適し、秋は雅人の擅に散歩するに任す。四季の何時と言わず、絵画の学生が此処其処にカンヴァスを携えて、この自然を写しているのが絶えぬ。まことに自然の一大公園である。最も健全なる遊覧地である。その自然と野趣とは全く郊外の他の場所に求むべからざるものである。凡そ今日の勢、いやしくも余地あれば其処に建築を起す、然らずともこれに耒耜を加うるに躊躇しない。然るに如何にして大久保の辺に、かかる殆んど自然そのままの原野が残っているのであるか。不思議な事にはこれが実に俗中の俗なる陸軍の賜である。戸山の原は陸軍の用地である。その一部分は戸山学校の射的場で、一部分は練兵場として用いられている。しかしその大部分は殆んど不用の地であるかの如く、市民もしくは村民の蹂躙するに任してある。騎馬の兵士が大久保柏木の小路を隊をなして駆せ廻るのは、甚だ五月蠅いものである。否五月蠅いではない癪にさわる。天下の公道をわがもの顔に横領して、意気頗る昂る如き風あるは、われら平民の甚だ不快とする処である。