Japanische Klassiker mit Furigana
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いっぺいそつ
蒲団・一兵卒
田山 花袋
Lesen Sie 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.948 Zeichen · 59 Bildschirme
木の燃えさしがだらしなく転(ころ)がっていて、畳の黒く焦げたのがきわだって眼につく。これは祭文読みとお作と喧嘩(けんか)した時、過(あや)まって取り落として燃えたのであった。戸外は秋の灰色に曇った日、山の温泉場はやや閑(ひま)で、この小屋の前から見ると、低くなった凹地(くぼち)に二階三階の家屋が連って、大湯(おおゆ)から絶えず立ちあがる湯の煙は静かに白く靡(なび)いていた。
渓流(たに)の瀬の鳴る音が遠くで聞こえる。
お作は立ちあがった。二日以来飯をろくろく食わぬので、足が妙にふらつく。こう腹が減ってはしかたがない。なんでもいいから食えるものを少し捜してこようと思ったのである。と、同時に赤児が声を挙(あ)げて泣き出した。で、お作はふらつく脚(あし)を踏み占めながら、まず抱き上げて、出ぬ乳を吸わせたが、容易に泣きやもうともせぬので、今度は黒砂糖を水に溶かして、吸い口をあてがってみた。で、どうやらこうやら泣きやんだので、それを古い帯で背にくくりつけて、そのまま戸外に出た。
灰色の雲は低く垂れて、なんとなく頭を圧(おさ)えられるような空模様であった。お作の小屋は温泉場の裏の斜坂の中央に当たっているので、下にはまずまばらに茅葺屋根(かやぶきやね)、大根の青い畑が連って、その下に温泉場、二階三階、大湯から出る湯の